『聖書と典礼』表紙絵解説 (『聖書と典礼』編集長 石井祥裕)

 2009年1月1日 神の母聖マリア (白) 白

2009年1月1日
神はその御子を女から生まれた者として
お遣わしになった
(第2朗読主題句 ガラテヤ4・4より)


聖母子
内陣円蓋のモザイク
イタリア トルチェッロ大聖堂 12世紀

 トルチェッロはヴェネツィアのラグーナ・ヴェネス(潟)にある小島(下図)。7世紀に司教座が置かれ、サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂(トルチェッロ大聖堂)が建設された。9世紀から11世紀にかけて改築されている。そこの12世紀から13世紀にかけて作られたモザイク壁画はヴェネツィア近辺一帯で活躍したビザンティンのモザイク職人の手になるもので、様式的にはヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂のモザイクとも似る。
 この聖母子像は、マリアが左手に幼子を抱えている、ビザンティン美術の聖母子像のなかでは「ホディギトリア」という型のもの(右図:アトス山ヒランダリ修道院のモザイク 参照)。アトス山ヒランダリ修道院のモザイク「ホデゴン(「道を示す方」の意)修道院にあった聖母子像」というところからこの名で呼ばれる。ホディギトリアのマリアは玉座に座っているものと起立しているものがあるが、これは起立している。マリアの右手は、左手に抱く幼子イエスを恭しく示している。幼子は身を左に傾けながら、右手は祝福のしぐさ、左手は巻物(神の言葉のシンボル)を抱える。幼子でありつつ、やはり「主」である。主としての威光に満ちたその姿から溢れ出てくる神の栄光の輝きが空間全体を満たしているのである。静寂に包まれた光という神秘感が巧みに表されている。下には部分しか見えないが、パウロも含む使徒たちが描かれている。マリアの足の下、中央の(向かって)左がペトロ、右がパウロ。ミサの奉献文で(各奉献文ごと文言はそれぞれ多少異なるが共通して)神の母おとめマリアとすべての使徒たちを思い起こして、彼らとともにわたしたちが永遠のいのちにあずかることのできるよう祈る。その祈りの心に響き合う図といえよう。ちなみに、マリアの上にあるモノグラム(組み合わせ文字)は「マリア・神の」を示すもので、「神の母マリア、聖なるテオトコス(神を生んだ方)」というマリアの尊称の略号で、ビザンティンイコンで使われたもの。

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