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聖書と典礼

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『聖書と典礼』表紙絵解説 (『聖書と典礼』編集長 石井祥裕)
2019年6月30日  年間第13主日 C年 (緑)
わたしに従いなさい(ルカ9・59より)

教えを説くイエス 壁画(部分)  
ドミティッラのカタコンベ  
3-4世紀

 復活節が終わり、三位一体とキリストの聖体の祭日を主日に祝ったのち、主日の朗読配分は、「年間」の流れが再開される。
 きょうの福音朗読箇所は、ルカ9章51-62節。「イエスは、天に上げられる時期が近づくと、エルサレムに向かう決意を固められた」(51節)。エルサレムに向かう旅がここから始まっていく。それは、弟子たちに自分に従う決意があるかどうかを試す歩みの始まりでもあった。さまざまな気持ちでイエスに近づき、従う気持ちを表す人たちがいて、イエスも「わたしに従いなさい」と端的に呼びかける。近づく人々の思いや意識の多様さは、かなりリアリティを感じさせる。我々にとっても「わたしに従いなさい」は、ストレートに響く。今年はルカによってエルサレムの旅が始まるのは、きょうの日からであるが、これからの年間第33主日まで、その福音の基調は、弟子たちの教育、訓練にあるといってもよい。
 そのような師であるイエスと弟子たちの関係を思うために、少しでも、イエスや使徒たちの時代に近いものといえる、3世紀のローマのカタコンベの描く教師としてのイエス像を掲げている。
 3世紀から4世紀にかけて、キリスト教美術の勃興期にあって、イエスの姿は、当時のギリシア・ローマ世界における一般の美術の題材をもって描かれていく。その典型の一つは、良い牧者の姿、もう一つは、教師としての姿で描くものである。教師としてのイエス像は、表紙絵のような青年風に描かれるものから、髭を生やし、威厳をもって、弟子たちに「掟」を授与するという形式で描かれるものまである。これは、その時代にあって、哲学者(知恵を愛する人)や賢人に対する信頼感や尊敬が非常に強かったことの表れでもあっただろう。カタコンベの壁画では、しばしば、教師たちも弟子と見られる青年も見分けがつかないことがある。その場合の教師は、弟子たちに対座するよりも、弟子たちの中でともに歩む人であっただろう。
 イエスはこの地上の道を、弟子たちが歩むのと同じ道を自らも歩んでいったのである。その道の中のイエスの横顔を思うとき、この初期の美術におけるイメージがとても参考になり、また刺激に富んでいる。
 さて、きょうの三つの聖書朗読は、まさしくこの「従う」というテーマで結ばれている。第1朗読、列王記上19章16b、19-21節からは、預言者エリヤに対するエリシャの「従い」(列王記上19・21参照)。第2朗読ガラテヤ5章1、13-18節では、「霊の導きに従って歩みなさい」(ガラテヤ5・16)という使徒パウロのことば。いずれも福音の「わたしに従いなさい」というイエスのことばの響きを広げ深めてくれる。
 この「わたしに従いなさい」は、これから続く年間の福音朗読のテーマでもある。ちなみに、「年間」という季節の呼称は、1969年に発表された現在の「典礼暦年と典礼暦の一般原則」によって始められた、現代的なネーミングである。この呼び方になって今年は50年目である。それ以前は伝統的には、四旬節前の主日に関しては、「公現後第○主日」、復活節のあとから待降節までの長い期間の主日に対しては、「聖霊降臨後第○主日」という呼称だった。
 それに対して、第2バチカン公会議の刷新は、「年間」という期間が「年間の季節」いわば年間節であることを明らかにして、それをイエスのいわゆる公生活における宣教活動の歩みを福音書に沿って一緒に歩んでいく期間として位置づけた。主日の福音朗読の3年周期制(A年、B年、C年という)がこれと結びついて、福音書の中のイエスの呼びかけ、弟子たちへの教え、神の国の福音のさまざまなニュアンスにもっと密着することができるようになった。「年間」という季節の一貫したテーマは、イエス・キリストの「わたしに従いなさい」である。今年はルカを通じて、そのことばの意味が展開される。我々としては、その呼びかけへの積極的応答が現代世界・現代日本社会の中で、いかに可能となるかについて、黙想と新たな決意が呼びかけられる季節である。ミサを通して、それはいつも問いかけられている。そこには、いつもイエスの横顔と後ろ姿が映る。

 きょうの福音箇所をさらに深めるために

典礼暦年のしくみ
Q 教会の暦には復活祭や待降節などいろいろな季節がありますが、日取りが毎年変わっていたりして、わかりにくい感じがします。そのしくみや意味を簡単に知りたいのですが。
A 典礼暦年とは、「主の年」とも呼ばれるように、教会がキリストとともに生きる教会の一年の過ごし方、その構造を意味します。「主の年」としての典礼暦年には主に三つの柱があります。
(オリエンス宗教研究所 編『典礼奉仕への招き―ミサ・集会祭儀での役割 第2版』「Q&A」本文より)


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