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コラム

コラム一覧へ 人々のために歩き回って働いたイエスさま

川上栄治(聖ドミニコ修道会司祭)
 今、わたしは、教会、学校、幼稚園などで、さまざまな仕事をしていますが、移動には車を使います。わたしは少し太っているので、周りの人から「運動してやせたらどうですか?」と言われることもあります。しかし、正直「できない」と思います。
 歩くのが健康にいいと分かっていますが、わたしはそれに当てはまりません。理由は、しょっちゅう頭が痛くなるからです。頭が痛くなるのは、かぜを引いた時、すごくきんちょうしている時、天気が変わる時などさまざまです。頭痛がひどいと、布団から起きられなくて、仕事ができないほどです。そんな時に歩くことなどできるはずがありません。
 みなさんは、まだそんなことはないでしょうが、これから先、何か病気になるかもしれません。だから、今のうちに自分の体を知っておきましょう。そして、「〜するのがいい」という世の中で言われることに当てはまらない人もいるんだ、と知って欲しいです。

 さて、きょうの福音に登場するイエスさまはとてもじょうぶな体を持っていたのでしょう。なぜかと言えば、福音書にはイエスさまが歩いたという文章がたくさんあるからです。イエスさまの時代には、今のように車や飛行機みたいな乗り物はなく、歩く以外は主に馬ぐらいしか移動する方法はありませんでした。馬は昔の王さまや将軍のようにえらい人が乗るものでした。イエスさまは馬に乗らず、イスラエル全体を歩いて回り、人々に神さまのことを伝え、病気の人をなおしました。
 わたしもイエスさまみたいにじょうぶな体が欲しいと思いましたが、今はもう無理です。でも、わたしはイエスさまを伝えるためにいっしょうけんめい働いているつもりです。教会で「聖人」と言われる人の中には、健康にめぐまれなくて病気で亡くなった人もたくさんいます。でも、その人たちはイエスを人々に伝えたから、その働きが認められて「聖人」になりました。
 この「こじか」を読んでいる人の中には、体の弱い人がいるかもしれません。また、体が元気でも、勉強ができないとか運動が苦手だとなやんでいる人がいるかもしれません。それを受けとめて、自分にできることをするのが、イエスさまを伝えることだとわたしは思います。強い人、健康な人だけがイエスさまを伝えられるとはかぎらないからです。(週刊『こじか』「イエスさまとともに」2024年2月4日号より)

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