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聖書と典礼

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『聖書と典礼』表紙絵解説 (『聖書と典礼』編集長 石井祥裕)
2019年2月3日  年間第4主日 C年 (緑)
母の胎から生まれる前に、わたしはあなたを聖別し、諸国民の預言者として立てた(エレミヤ1・5より)

エレミヤの誕生    
ステンド・グラス   
パリ サント・シャペル教会 13世紀

 預言者エレミヤが自らの召命について主が語る言葉を告げている――きょうの第1朗読エレミヤ1章4−5節、17−19節の始まりである。次の主日はイザヤの召命に関するエピソードが読まれ、2主日続けて、イエスの姿を予兆させる二人の預言者に注目させる配分となっている。旧約の預言者とイエス・キリスト、そしてキリスト者の関係をステンド・グラスの画像とともに黙想してみたい。
 表紙掲載は、パリ、サント・シャペル教会のステンド・グラスの部分。ちなみに一般にサント・シャペル教会と邦訳されるが、サント・シャペルだけで「聖なる礼拝堂」を意味する。それは、13世紀半ば、フランス王ルイ9世がコンスタンティノポリスで購入したキリストの「茨の冠」や十字架の断片などを納めるために、パリのシテ島に建てさせた王宮付属礼拝堂である。王族用の上堂(王宮に接続)と一般用の下堂から構成される礼拝堂で、ゴシック建築の極致といわれる上堂には高さ15mに及ぶ15の窓があり、1134にも及ぶ聖書の場面(キリスト生涯図や旧約物語)がステンド・グラスで表されている(1245−48年制作)。これはそのほんの一部である。
 エレミヤの誕生と題されるこの絵は、彼自身の召命体験を語る上記の第1朗読箇所が土台になっている。もちろん、本文では、「わたしはあなたを母の胎内に造る前から、あなたを知っていた。母の胎から生まれる前に、わたしはあなたを聖別し、諸国民の預言者として立てた」(1・5)という、主の言葉があり、エレミヤの召命が、母の胎内に宿る以前からの神の決定と選び(聖別)によることが示される。画像では、右側で横たわっているのが母、そして幼子をだき抱えているのが侍女か乳母であろう。あるいは母が二重に描かれているのだろうか。定かではないが、なにより幼子の姿が印象的である。まっすぐに天を見上げている。そこには、神の働きかけ、招きがすでにあるという構図である。
 もちろん、この光景全体が、幼子イエスの誕生の場面をも連想させる。神の選び・召命は、人間としての受胎以前に進んでいる計画であるというメッセージ。とくにエレミヤが「ユダの王やその高官たち、その祭司や国の民に立ち向かわせる」ことが予告され(エレミヤ1・18)、「彼らはあなたに戦いを挑むが、勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、救い出す」(19節)という神の恵みの約束が語られる。こうした事態が、きょうの福音朗読箇所ルカ4章21−30節と響き合う。「預言者は、自分の故郷では歓迎されないものだ」(ルカ4・24)というイエスのことばがあるおかげで、イエスがユダヤの人たちにより山の崖から突き落とされそうになるというショッキングな出来事の意味が照らされるのである。
 このエピソードのもとには、ルカ福音書が克明に物語るイエスの誕生の経緯があり、さらにその背後に、エレミヤら旧約の預言者の召命とその生涯が、イエスのここでの出来事を照らしだす。もとより、神の計画は、見えない次元、世の始まりに無限に広がっている。異邦人への使徒としての(母の胎内における)自らの召命を語るパウロのことば(ガラテヤ1・15−16)をも思い起こさせる、きょうのエレミヤの箇所。そこにある神の選びの神秘はキリスト者一人ひとりの信仰の根底に広がっている。「預言者」は、キリスト教的な意味では、すべての信者が神のことばの担い手、使者であることを示す呼び名となるのである。

  きょうの福音箇所をさらに深めるために 

「ルカの描く召命物語でも、イエスの語る言葉の力強さが主題であるが、しかし、呼び出された弟子たちのあり方にも触れ、弟子の特徴を三つ挙げている。まず、弟子とは人間的な知恵や経験から行動するのではなく、『あなたの言葉』に立って、その言葉に基づいて行動する人々である。」
雨宮 慧 著『聖書に聞く』「出会いとしての召命」本文より



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