| 2026年10月11日 年間第28主日 A年 (緑) |
町の大通りに出て、見かけた者はだれでも婚宴に連れて来なさい (マタイ22・9)皆を披露宴に招く エヒターナハ朗読福音書 ドイツ ニュルンベルク国立美術館 10世紀 きょうの福音朗読箇所はマタイ22章1-14節(短い場合は1-10節)、新共同訳聖書では「婚宴」のたとえという見出しがついている。神の国のたとえの一つである。ある王が王子のために婚宴を催そうとして、家来に招いておいた人々を呼んでくるようにというところから始まる。しかし、だれも来ようとしなかった。それに対して、王は、「婚宴の用意ができているが、招いておいた人々はふさわしくなかった。だから、町の大通りに出て、見かけた者はだれでも婚宴に連れて来なさい」(マタイ22・8-9)といわれているところに、という話である。 この教えの並行箇所とされるのがルカ14章15-24節である。新共同訳聖書では、「大宴会」のたとえとして紹介されている。ここも同じモチーフで、ある人が盛大な宴会を催そうとして人を招いておいたが、僕(しもべ)に用意ができたことを告げに行かせても、皆、理由をつけて断るという流れである。すると、主人は怒って、『急いで町の広場や路地へ出て行き、貧しい人、体の不自由な人、目の見えない人、足の不自由な人をここに連れて来なさい』と命じたのである(ルカ14・21参照)。同じ発想の話が伝承の中で一つ展開していった様子がわかる。表紙絵に掲げた、朗読福音書の挿絵は、この同じモチーフでも、ルカ福音書の話に基づいていることがわかる。とはいえルカ福音書の箇所は主日に読まれることがないので、きょうのマタイの話と合わせて考慮することにしたい。 ここでのたとえのイメージの中心にあるのは「宴会」である。これが用意されていて、すでに招かれていた人もいた。そこで宴会の準備が整った今、そのことが招かれていた人に告げられても、だれも来ない。マタイのたとえでは、用意ができたと告げに来た家来を殺してしまう(マタイ22・6参照)など、ひどいことをするほどである。 マタイの場合は、この話がエルサレルの神殿で祭司長や民の長老たちと向かい合うなかで語られるので、この指導者たちが、招かれていたのに来ないことがとがめられているとも理解できる。そうした人々を目の当たりにして、今、神の国に福音は、ユダヤ人に限らず、異邦人を含めすべての人、とりわけ貧しい人、困難を抱えている人に告げ知らされるべきものとなっていく。家来たちは、そのために「出て行く」ことを命じられる(マタイ22・10参照)。イエスの宣教、そして使徒たちの宣教が遭遇した状況がこのたとえの中に重ね合わせられているのだろう。「出て行く」というところに 福音宣教の大切な特性が込められていることにも気づかされる。 それと同時に、もう一つ、我々の日頃の典礼生活への問いかけが、きょうの福音から鋭く切り出されてくる。そのことを考えるためには、表紙絵の上段に描かれている、食卓の中心にいる主人の姿が重要である。それは、イエス・キリスト自身ともいえるし、神ご自身の姿ともいえる。この食卓の光景を予告する預言がきょうの第一朗読の箇所イザヤ25章6-10a節である。「万軍の主は、この山(註=神殿のあるシオンの山のこと)で、すべての民に良い肉と古い酒を供される。それは脂肪に富む良い肉とえり抜きの酒」(6節)。この食卓が、永遠の命に至るものであることが、主が「死を永久に滅ぼしてくださる」(8節)という言葉に示される。永遠の救いの実現がシオンの山で催される祝宴のイメージで語られている。 イエスが神の国を宴会のたとえで語る前提の一つとして重要である。そして、イエスが語る宴会のたとえの趣旨が教会の時代においては、主の食卓の典礼、すなわち感謝の祭儀(ミサ)の形で受け継がれているといえる。これは、もちろん最後の晩餐でイエス自身が定めた形であるが、主の食卓の典礼のもとに、救いの完成が宴会のイメージで語られてきた預言の伝統がある。 感謝の祭儀を通して、神の普遍的な招きを受けている我々はいつも、その招きにふさわしく応えられているかどうかが、宴会の主人(主キリスト、そして父である神)によっていつも見守られ、招きに素直に応えることと根本的には期待されているのであろう。主の食卓の典礼の頂点にある聖体拝領への招きのことばで、「神の小羊の食卓に招かれる人は幸い」と告げられることは、その意味で大変意味深い。我々は、この「招かれる人としての幸い」を心から感じているかどうか、そして、神の国の完成のあかつきに催される大宴会へのあこがれと待望をいつも持ち続けているだろうか。あるいは招かれる人としてだけでなく、主人からの招きと食卓の用意ができたことをすべての人に伝えに出て行けているだろうか、……そのような信仰生活と福音教の使命への暗示がさまざまに含まれているたとえである。 |